君じゃなきゃ。



「え、あっあのっ先輩、彼女って……?」

あたしは目を丸くして聞いた。


そりゃ先輩の見た目と性格で彼女いない方がおかしいけど……それでも一つも噂に聞いたことがなかったから、てっきり仕事一筋かと思った。


……あ、でもメールの返信で怒られてるって言ってたっけ?

あれって……彼女のこと?


「僕にだって一応彼女はいるよ?メールの返信が遅いって怒る彼女が」



……やっぱり。



口元を緩めて話す先輩の横顔に胸がチクンと痛んだ……。