君じゃなきゃ。



そうだとしたら、別に何もなかったんだから言ってしまっても構わない。

でも、もし健人はあたしが先輩といたことを知らなくて言ってるだけだとしたら……一人で帰ったことにした方が変に心配かけなくていいし……。


先輩と二人でプロジェクト任されているということを聞いただけでヤキモチ妬くくらいだから、一緒に帰ったなんて言ったらどうなるかわからない。


「ひ……一人で帰ったよ。ちゃんと無事帰れた!」


あたしは健人に隠す方を選んだ。



「……そっか」


あたしに向けられていた視線を逸らすと健人は会社の中へ入って行った。


隠さない方が良かったかも……。


視線を逸らされてあたしは思った。