始めは刺激が合ってドキドキしていたけど、
今となっては周りにバレないか心配だからヤメてもらえないかなぁなんて思ってたり。
そんなことを考えていたからか……
「相川さん? 相川さくらさん?」
「うわっ! はい!」
「はは……フルネーム呼んだらやっと気づいた」
「もう! 竹下先輩! 笑いすぎです!」
「ごめん、ごめん」
背後から近づく先輩に全く気付かなかった。
朝から爽やかに目の前で笑っているのは企画課の先輩である竹下俊介(たけしたしゅんすけ)さん。
入社7年目の29歳で仕事がすごくできるし、スッと伸びた涼やかな切れ長の目、スマートな体型、整った顔立ち……見た目も完璧な人。
それでいて中身も落ち着いてて、優しくて……とにかく全部揃っていて、女子社員憧れの的だ。
「でもどうしたの? 朝からボーッとしてたよ」
「あっ、いやなんでもない……です。はい……」
「彼氏に変な気分にされてポーッてなってました」……なんて言えるわけなくて俯いてしまった。
もう、健人のバカッ!

