君じゃなきゃ。




「うわっ!!」

先輩はあたしの声に驚いたのか、ガタガタンッと机に足をぶつけたかのような音をたてて出入り口付近にいるあたしの方を向いた。

「え?あっ相川さん?」

動揺したまま目を細めて確認してくる。

あたしは先輩からも見える位置まで近づいた。


「はい。そうです!竹下先輩まだ仕事されてたんですか!?」

「あ、うん、ちょっと……あれから資料探して、それはすぐに見つかったんだけど、どうしても手をつけたくなっちゃってね。それでやりだしたら止まらなくなっちゃって……」


パソコンの画面を覗き込むとかなりプレゼンの準備が進んでいた。


「本当だ……結構進んでますね。ありがとうございます」

「いえいえ、ごめんね。一人で進めちゃって」

竹下先輩は申し訳なさそうに笑った。