ずっと繋いだままだった手を健人の唇まで運んで、あたしの指に優しくキスを落とす。 「もしも……なんて話は嫌い」 「健人?」 健人の息が直に肌に伝わる。 「もしもここにさくらがいなかったら……なんて思うと寂しくなるから。今いるさくらが……嘘みたいに思えるから……」 「健人……あたしは……ここにいるよ?」 「うん……わかってる。わかってるんだけど……ヤバイ、隠せそうにない。やっぱり震えてるや。俺……」 微かに震える手と唇。