「あとは手当たりしだいに、高そうなお店に行って竹下の名前で予約ないか聞いた」

「手当たりしだいって!?」

「だからホントに手当たりしだい!8軒目でビンゴ!おっしゃ!って思ったら足がずんずん、さくらの元に進んでた」



やっと見つけたって思ったら店員の注意も聞かずに入っちゃったワケね。

健人らしいというか、ホント、行動力すごいなぁ。



「でもさ、もし、もしも先輩があたしと居酒屋なんかに行ってたらどうしたの?」

「もし……かぁ。先輩から居酒屋っていうイメージわかなかったからなぁ。あの人王道な感じするし」

「だからもしも。仮定の話。居酒屋なんていっぱいあるでしょ?」

「う~ん……そしたらその時!っていうかもしもの話なんてしないで?」



健人はそう言って、駅まで着いて足を止める。