君じゃなきゃ。



先輩は健人に向き直り言葉を続けた。


「でも別れてから気付くこともある。いや……別れる前から……もしかしたら出会った時から気になってた……」


あたしの周りの時間が一瞬止まった。


え……先輩!?


気になってたってどういうこと!?


それって……それって……。


外見はただ固まったままだが、内心はそうではない。

いろんな口には出せない疑問が浮かび慌てふためいていると、あたしの心の声を代弁したかのように健人が先輩に問いただした。



「……竹下先輩、それって……さくらのこと好きってことですか?」



健人は下から睨みつけるように鋭い視線を先輩に向けている。



普段見せたことのない表情にあたしの心が痛くなる。


……健人、本気で怒ってる……。