君じゃなきゃ。



「僕なら気づけるけどね」


先輩は今までのあたしと健人のやり取りを聞いていたかのように、サラリと発言した。


「たっ竹下先輩……!」


驚きとなぜか少し嬉しさが入り混じるあたしに対して


「なんですか?先輩には関係ない話だと思いますけど?」


明らかに不機嫌になる健人。


さっきまでの子犬のような表情もどこへやら。

強気な目で先輩を睨みつけている。

きっと周りに人がいなければ、あたしは健人の腕の中にかくまわれているところだろう。