健人は俯いていた顔を上げてあたしを真っ直ぐ見つめてきた。 「……んで……」 「……え?」 「なんで……今日、電車にいなかったの?」 「電車?!」 「いつもの電車にさくらいなかったじゃん!」 気付いたんだ……。 あたしがいなかったこと。 「一本遅らせたもん」 そのせいで会社に遅刻したけど。 「なんで一本遅らせたの?」 「……健人に……会いたくなかったから」 あたしは正直に気持ちを言った。