君じゃなきゃ。



健人の傍へ寄るとあたしは小声で話しをした。


「健人……なんで企画課に来たのよ!しかもあたしを呼ぶなんて!何か用あったっけ?!」

「用がなきゃ来ちゃダメ?」

「そりゃそうよ!」

「冷たいなぁ……」


チェッと軽く舌打ちをする健人。


周りが珍しい来客に視線を向けているのがわかる。


メグミの話によると健人って女子社員の中で人気あるっぽいし……。


そのことを考えると余計に視線が気になってくる。




「用がないならもういいでしょ?」


健人に背を向けて自分の席に戻ろうとしたとき


「用ならあるから!」


クイッと手首を掴まれた。



でも……そこにいつもの強引さは感じられなかった……。