君じゃなきゃ。



あたしはすぐに先輩の後ろについて席に戻った。


「う~ん……会議室が使えないとなると……どうしようかな」

先輩は顎に手を当てて考え出す。


健人が鍵を持って行ったなら……しかも昼休みになってすぐなら……。

営業課での会議のためじゃなくて……きっとあたしとのためだ。


だったら……


「せ……先輩……!あのっ!たぶん会議室空いてると思います」


そう、きっと健人は開けっ放しにして帰ったんだ。

だから会議室は使われてないと思う。


「……そうなの?」

先輩は始め、キョトンとした顔をしたがすぐに納得したような表情になった。


「……そっか、杉浦くんと昼休み会ってたんだもんね」


先輩は少し苦笑いを浮かべて、荷物を整え始めた。



……なんだか……先輩の苦笑いが胸に痛い。