君じゃなきゃ。



でも先輩はそうじゃなかった。


「……許せないな……」


「……先輩?」


静かに怒りを込めた先輩の声が耳に響いた。


「これ……杉浦くんでしょ?」

先輩を見ると表情が少し曇っていて怒りを押し殺しているようだった。


「……はい……」

「許せないな……本当に。どうせ無理矢理したんでしょ?」

「な……なんでわかるんですか……?」

「だって相川さん、帰ってきたとき目、赤かったもん。泣いたでしょ?」


それで先輩、あんなに優しい口調で聞いてくれたんだ……。


「何考えてるんだか……杉浦くんは……」


大きくため息をつくと先輩はあたしの髪に手を伸ばした。