君じゃなきゃ。



「……ヤメてってば……健人……」


静かな声であたしは言った。

健人が少しビクッとなったのがわかった。


「さくら……好きだよ……」


健人は小さく呟いて、あたしの首筋にキスをする。


少し強めのキスを。



「……っ!健人っ!」


再び怒ったあたしにさすがにマズイと思ったのか、今度こそ両手を離して


「はいっ!もうお終い!さくら、お仕事頑張ってね!」


笑顔であたしを見送った。



いつもならその笑顔で何もかも許しちゃえるんだけど……

今日はなんだかそんな気持ちになれなかった。