君じゃなきゃ。



会議室の中へ入るとあたしは机や椅子を本番同様まではいかずとも軽くセッティングし、先輩はしゃがみ込んで機材のセットを始めた。


「あれ……おかしいな……このアダプタはプロジェクターのじゃなかったっけ?」

「それは別のですね。そっちの黒い方がプロジェクターです」

「あ、そうか……ごめんね、ありがとう。って、あらら……絡まっちゃったよ」

「大丈夫ですか?」


絡まったアダプターを前に四苦八苦している先輩を助けようと近寄ると先輩はため息をついてアダプターを床に置いた。


「ダメだね、僕って……」

「先輩……?」

「動揺してるのかも……」

「え?」

「今朝……彼女の浮気してるとこ……見ちゃったんだ……」

「えっ……!?」


床に置かれたアダプターを取ろうとしたあたしの手は途中で止まった。