君じゃなきゃ。



照れた気持ちのやり場もなく資料を握り締めていると、あたしから手をサッと離した健人は先輩の方へ向いた。


「これでお相子、ですから」


敵を捕えたかのような威圧的な目で先輩を一目し、会議室の方へ足を進めて立ち去った。



健人が廊下の角を曲がり、姿が見えなくなると


「ぷはっ……!」


先輩は何かから解放されたかのように大きく息を吐き出した。