「ちょっとどこ行くの?」


お母さんが口をとがらせて私に聞いてきた。


「センパイとちょっと…」


その“ちょっと”は秘密。

うちの親は私のこと信じてくれてるから、別に言わなくてもいい。

だから少し心が痛むこともある。


「早めに帰ってきなさいよ」


「わかってる」


こんなやりとりをしてから、いつも私は家を出る。

時刻は午後4時。

向かうはセンパイの家。