だから、わたしが出す答えもわかっているはずだ。
「……言わない」
「そう。じゃあ、このことは、ふたりの秘密だな」
「はい……」
そう、返事をすることしかできなかった。
本当に最悪だ……。
どうしてこんなことに……。
「変な顔」
「なっ!?」
その場に座り込み、この状況に打ちのめされていたら、失礼なことを言ってきた夏目くん。
キッと睨むと、鼻で笑ってから両手をポケットに入れたまま背を向けて歩いて行った。
もう図書室を出て行ったみたいだ。
「はぁ……」
そこで大きなため息を吐く。
本当に最悪だ。
この数十分の間に、いっきにいろいろなことが起こった。
頭が追いつかないよ……。
とりあえず、この秘密は意地でも隠し通さないといけない。
わたしの今後の学校生活のためにも。
そう強く誓ったのだった。