やばいのは顔だけにして……って、わたしそんなにやばい顔してた?

たしかに授業中にラブラブの彼氏である夏目凌久くんのことを考えていたけど。

夏目くんのことを考えて、ニヤニヤしちゃっていたかもしれないけど。

そ、そこまでじゃないよね……?


クスクスとわたしを見て笑うクラスメイトの視線に恥ずかしくなりながらも、夏目くんに視線を移す。

背もたれに深く背中を預けて、相変わらずだるそうにしている夏目くん。

甘くてかっこいいラブラブの彼氏。

わたしの視線に気づいたのか、夏目くんもわたしを見た。

すごい!
ほら、繋がってるよね。
わたしが見たら見てくれるんだよ。

先生に失礼なことを言われたのも、みんなに笑われてしまったのもどうでもいい。


夏目くんと目が合ってうれしくて微笑む。


「(ばーか)」
「っ……!?」


けど、夏目くんの口はたしかにそう動いた。

う、うそだ……。

だって、わたしたちは「好き」って言ったら「好き」って返す関係。

すーき。は無理あるか。
いや、すーき。って言ったのかもしれない。
ぜったいそうだ。

だってわたしたちは……。


「花野、集中!!」
「はいいぃぃっ!!」


何度もそんな笑いに変えてくれない先生の声が響いた。
背筋がピンっと伸びる。

夏目くんから視線を黒板に戻した。