指先が触れるには遠すぎて



___今でもあの日のことが薄らと、頭の端を過ぎることがあるけど、蝋燭の火を消すように吹き消す。

あの時、私は若かった。
ピンと指先まで伸ばした手を引っ込めて、今や思い出として胸の中にしまっている。



END