『持ってて。…っていうか、それ、やるよ、』

「えっ、悪いですよ、そんな、」

『いーから、』


結局、車に乗ってる間も

上着を返させてはもらえなくて

でも、染夜くんが私を見る目があまりにも優しくて

私はそのままもう一度上着を着た。


『……んじゃあ、また連絡する、』


染夜くんは私のアパートの目の前に車をとめてそう言った。


『おやすみ、』

「お、おやすみなさいっ、」


もう暗いからはやく帰りな、と染夜くんに言われて

私は後ろを振り返りつつも、アパートの部屋に戻った。