「わたしが王位継承の意思を主張したのは、お兄様を見つけるまでの時間稼ぎが目的だもの。それまでジュリオ王子殿下と拮抗できれば十分だわ。騎士服は黒にしましょうか。ノアはそっちのが好きだものね。アンジェラもそれでいいかしら」
「いいけど。あのさ、」

 言い辛そうに、アンジェラが二度目の挙手をした。

「思ったんだが、視察やら枢機卿との会談はジュリオに先を越されてるだろ。今さらやったって、二番煎じで効果は薄いかもしれねえぞ?」
「それに関しては大丈夫。彼に先を越されていないくて、なおかつ王女として活動できる場所は見当がついてるの」

 ルルは、書きかけの手紙を扇状に開いた。

「巣ごもり上手は、外に出なくても外の情報を上手につかむものなのよ」