ドキドキしながら尋ねるルルに、ノアは即答する。

「いりません」

 ノアにとっては、対価など問題ではなかった。
 それがルルのためになるのなら、自分のなかでくすぶる熱も我慢しようと思える。本当は、ルルのことを考えるだけで、胸が切なくなるくらい彼女を求めて止まないのだけれど。

(この気持ちを、ルルーティカ様はご存じなのだろうか)

 知っていてほしいとも思うし、知らないでいてほしいとも思う。
 ノアの複雑な夜は過ぎていった。