頬を膨らませると、苛立ったアンジェラに頭突きされた。

「痛っ!」
「しないと思っても、危機感だけは持っとけ! いいな?」
「はーい」
 
 その晩もノアが部屋に現われたので、ルルは昼間のうちに用意した誓約書を取り出した。

「これは?」
「添い寝するときに守ってほしいことよ」

 寝顔をじっくり見ない。寝言は忘れる。ぎゅっとする他には何もしない。
 三つの約束を、ノアは「嫌です」と拒否していた。

「昼間は私よりアンジェラと過ごしているでしょう。夜のあいだは、私がルルーティカ様を独占する時間なので、寝顔も寝言も私のものです」
「むう。じゃあ、これでどう?」