「ルルーティカ、そろそろ起きろー。って、うわっ!」

 紅茶をのせた銀盆をもってルルの部屋に入ったアンジェラは、ベッドを見るなり大声を上げた。
 飛び起きたルルは、目をぱちくりさせる。

「なに? まさか侵入者?」
「いやいや違えよ。見てみろ、自分を」

 そろりと視線を落とすと、脱力した腕がお腹のあたりにかかっている。ルルを抱き込むような体勢で寝息を立てているのはノアだった。

 ルルは、ボンッと赤くなった。
 昨晩、自衛のためにわざと熟睡しないようにしていると言い当てられて、あれよあれよという間に抱き締められ、横たわる格好でホールドされたのだ。

(あのまま、朝まで過ごすことになるなんて!)