ルルは、ノアに手を引かれてベッドに倒された。
 びっくりして目を丸くしている間に、背中から抱き締められる。

「の、ノア?」
「貴方のことは私が守ります。だから、安心して眠ってください」

 耳元で囁かれる声に、背中に感じる温かさに、ルルの胸はトクトクと鳴った。
 
(どうしよう、嬉しい……)

 ノアは、ルルが今まで出会ったどんな人とも違った。
 自分のことをちゃんと見て、変な人間だと片付けずに、助けようとしてくれる。

 主と騎士に交わされるという忠誠より温かな何かを、ルルはノアから与えられている気がした。

「ノア」
「はい」
「ありがとう……」

 お礼を言えば、ノアが微笑む気配がした。

 鼓動がさらにうるさくなって、しばらく眠れそうにない。
 後ろにいるノアからは、赤くなった頬が見えないのだけが救いだった。