アンジェラは、ノアにケーキを食べさせてもらっているルルを見て、盛大に顔をしかめた。

「一才、二才の子どもじゃあるまいし、菓子ぐらい自分で食べられるだろ。そんなことしてると、ルルーティカが一人じゃ何にもできなくなっちまうだろうが」
「それに何の問題が?」

 ノアは、コテンとクビを傾げた。

「ルルーティカ様は息をしていてくださるだけで十分です。お世話する私がいなければ、生存もあやういくらいに頼っていただくのが本望です」
「マジかよ。なんだその爛《ただ》れた関係……。ルルーティカ、こいつヤバいぞ。さっさと逃げるか、別のやつを雇った方がいい」
「ルルーティカ様、彼女の言葉を真に受けないでください。アンジェラ、この機会にはっきりさせておくが――」

 しきりに勧めるアンジェラを、ノアが腕を組んでたしなめた。

「――ルルーティカ様に信頼されているのは私の方だ。ルルーティカ様と話すときは私を通すこと。私の方が先にルルーティカ様の騎士になったし、金貨だってすでに二回もいただいているのだから」