若いメイドは、ルルーティカをじろじろ見ることなくティーポットからお茶を注ぎ、カップを手渡してくる。

「どうぞ――」
「ありがとう」

 大聖堂で声を張り上げて喉が渇いていたので、飲み物はありがたかった。
 ルルがカップに口を付けようとすると、ノアが「毒見は?」と指摘した。

 そういえば、城の中では毒見された食べ物や飲み物しか口にしてはならないのだった。はっとしたルルがカップを下ろすと、メイドはチッと舌打ちした。

 彼女は、エプロンの下に手を突っ込むと、銀色のナイフを取り出してルルーティカに突進してくる。

「死ね、ルルーティカ王女!」