ノアは、ルルの肩に顔を伏せて言う。

「お守りすると決めたのに、ルルーティカ様を危険にさらしました」
「失礼な騎士のこと? たんに腕をひっぱりあげられただけだわ。どこも怪我してないし平気よ。ほら」
 
 ルルは、袖をまくってアザ一つない腕を見せる。

「ね? だから落ち込まないで」
「それでは私の気がおさまらないんです」

 切なげに目を細めたノアは、ルルの頬に手を添えた。

「もう、誰にも触れさせません。二度と貴方に怖い思いをさせない」

 真剣な表情に、ルルの目は釘付けになった。
 親にすら捨てられたルルを、ノアは心から大切に思ってくれている。

「うん……。ありがとう」