ひときわ大喜びしているのはアンジェラだ。調子のいい指笛まで鳴らしている。

「ヒューウッ! やったな、ルルーティカ!」
「おめでとうございます。ルルーティカ様――」

 ノアからもお祝いの言葉を贈られて、ルルは固まった。
 改めて自分がやったことを思い返してみる。

 次期聖王の内定式で、対立候補のジュリオが聖王に相応しくないと暴きたてた。
 王族としての責任感とルル個人の正義感からしたことだが、見方を変えれば、自分の方が聖王に相応しいと証明したように受け取られてもおかしくない。

 気づいたときには、後の祭りで。

「――これで、あなたは聖王に内定です」
「えぇえええっ!!!?!?」

 気高く美しく清らかな『ルルーティカ王女』らしくないルルの悲鳴は、大聖堂中に響き渡ったのだった。