――大司教に追い詰められて、崖に落ちるギリギリで全身全霊の魔力を手に集めたルル。それを放つ前に攻撃がきて、ノアに抱えられて飛び降りた――。

 見える映像には、ルルが目撃できなかった『続き』があった。

 ルルの手を離れて研究所跡に飛んでいった魔力は、天井の穴から建物に入り、積み重なっていた檻のうえで何百もの光に分散した。
 光は、おのおの錠前にぶつかっていき、壊した。檻の扉があく。
 一角獣たちは檻を抜け出し、司教らの手が届かない空へと飛び立っていった。

「あなたたちは、私の力になるために戻ってきてくれたのね。ありがとう」

 ルルが感謝を伝えると、撫でられていた一角獣は深く頭を下げた。
 それを皮切りにして、大聖堂に詰めかけた一角獣たちが次々とひれ伏していく。さながらドミノ倒しのように、末席まで。