聖騎士団が、内定式典で国中の要人がカントに集まっている隙に、密輸に使われた現場を押えたのも、ルルからの要請によるものだった。
 ヴォーヴナルグはしばらくなりを潜めていたので、枢機卿団に警戒されることもなく、計画通りに証拠固めはすすんだ。

「証拠は押さえましたので、これからゆっくりと捜査をしていきます。いずれ罪は暴かれると思いますが、これでもまだ言い逃れなさいますか?」
「――城を追われた王女のくせに」

 マキャベルはジュリオの帯剣を抜いた。ノアが剣を構えてルルを背にかばうが、マキャベルは斬りかかってくることはなく、刃を自分の首にあてた。

「己の行いを悔やむがいい。歴史ある大聖堂を、この私の血で汚してやる」