ルルの指摘に、マキャベルの顔がこわばった。

「ルルーティカ王女殿下。大きな罪とはなんのことでしょう。全く身に覚えがありませんが」
「それは『一角獣《ユニコーン》の密輸』です。ユーディト地区の大司教たちが起こしている犯罪に、マキャベル主席枢機卿が気づいておられないはずがありませんわ」

 大聖堂中の目が、いっせいにマキャベルに向いた。
 ガタンと椅子から崩れ落ちたのは、式典のためにカント入りしていたユーディト地区の大司教と取り巻き。そちらにはアンジェラが睨みをきかせている。

「わたしが調べたところ、人が近づかない研究所跡を一角獣の保管庫として使い、荷を他国に下ろしたジュリオ王子の商用船を利用して、ガレアクトラ帝国に運ぶ密輸ルートができていました。聖王イシュタッド陛下は、それを突き止めるためにユーディト地区へおもむき、現場を見たところで密輸犯――あなたの手下である大司教たちに襲われて、崖下へ転落なさったのです」