ジュリオは冷や汗をかきながら助けを呼ぶ。

「主が殺されそうになっているんだから、騎士ぐらい殺して駆けつけてこい! もういい、君たちは全員クビだ!」
「お前を殺しはしない。ルルーティカ様のご命令は、こちらだ」

 ノアは、剣を握るのとは逆の手をかざした。マントから小ぶりな魔晶石が離れて、手の平に収まる。
 ルルに持っていって手渡すと、彼女はそうっと一角獣の頭にのせた。

 折られた部分が光を放ち、角が元通りにくっつく。

「この一角獣から折られたものですわ。折られて間もない魔晶石は、膨大な魔力を有しているから、魔力がない人間に魔法を使わせることもできますし、持ち主である一角獣と融合することもできます」
「そんなことは知らないよ! なんで教えてくれなかったんだい?」