ルルは、膝にのせていた重たい袋と手紙の束をテーブルに上げた。カチャっと軽快な音を立てたのは、長らく貯めてきた金貨だ。

 束の先頭には、マロニー地区の司教からの手紙がある。復活させた織物の販路を広げたいという相談だった。
 紐を外して広げると、慈善訪問したカントの外れにある教会の子どもたちからのお礼状や、ルルがお世話になっていた修道院からの便箋が散らばる。

「聖王城に届いた手紙を、ヴォーヴナルグ団長が集めて持ってきれくれたの」

 彼は、晩餐会の夜に雇われで黒騎士になった者が、ルルを応援していると言い残して去っていった。
 意図せずして、ルルは味方になってくれる人脈を得ている。助力を頼むなら今だ。先立つものは十分にあるのだから。

「人海戦術は数が勝負よ。今こそ、課金のちからを思い知らせてやるわ!」