「式ってものではない。大がかりな茶番だ。一角獣《ユニコーン》を一体連れてきて、聖王候補に懐くかどうか見る。あんなもん、多少の魔力がある人間なら、誰でも懐かれるだろう」

 聖教国フィロソフィーの王族は、生まれつき魔力を持っている。
 だが、王族の血が流れるヘレネーの息子であるジュリオからは、全くもってその力を感じない。教会裏で見たかぎりでは、一角獣にも嫌われているようだ。

「ジュリオでは内定は難しいかもしれないわね……。いいえ。難しいからこそ、奥の手を使ってくるはず。そこを突けば乗っ取りは防げるわ! 同時に、ユーディト地区そのものではなく研究所跡だけ封鎖して、一時的に港を止めて商用船を留めるの。そうすれば、密輸の証拠も押さえられる!」

 熱が入るルルを見て、アンジェラが挙手した。

「ルルーティカの案だと、あたしらだけでは人手が足りない。どうするんだ?」
「もちろん、これを使うのよ」