ノアから「床に寝るのは止めてください」と言われて、かといってベッドに戻るのも嫌で部屋をうろうろしていると、洗濯物を干して戻ってきたノアに変な顔をされた。

「なにをしているんですか」
「巣ごもりポイントを探しているの。祈りの部屋のくぼみみたいに、狭くて、暗くて、温かいところがいいわ」
「狭くて、暗くて、温かい、ですね」

 ノアは、二人掛けのソファに横を向いて座った。
 手招かれたルルが近づくと、腕を引かれる。

「きゃっ」

 倒れたルルは、ノアの胸に抱き止められた。黒い服に顔がうずまって視界が暗い。
 抱きしめる力は強く、体温がじんわりと伝わってくる。

 たしかに、狭くて、暗くて、温かい。
 けれど、ちょっと恥ずかしい居場所だった。

 耳まで赤くなるルルに、ノアは小さく笑う。

「居場所、見つかって良かったですね」