ルルがノアにキスされて眠った次の朝。その一方は、半ばうるさい形で届いた。

「ついに来たぞ、ルルーティカっ!」

 部屋に入ってきたアンジェラの手には、道端に立てられている木の看板があった。
 ルルはベッドに起き上がって眠い目をこする。

「アンジェラ……看板を引っこ抜いてきてはいけないわ」
「んな悠長なこと言ってられるか。見ろよ、これ!」

 看板には『聖王内定式典』の開催をしらせるお触れが書かれている。
 聖王候補であるルルーティカ王女が行方不明になったため、対抗馬のジュリオ・ヘレネー・ガレアクトラに内定を出す、というものだ。