「――カントにお連れしてからは王女としてご立派に振る舞われました。立場を得るにつれて傲慢になる人間は多いものですが、ルルーティカ様の心根はお美しいままでした。孤児や一角獣にも優しく、国を守ろうという気持ちは強く、ジュリオに対向する姿勢は勇ましく、お昼寝のために丸くなっていると愛嬌があって、一人きりで身を守ろうとする姿はいじらしく、毎晩かかさず勉強する真摯さは尊く、美味しいものを食べる表情は可愛らしく、寝顔は触れたくなるほどあどけなくて――」

 ふと目蓋を開けると、ルルは熟れたイチゴみたいに真っ赤になっていた。はわわとした表情を見るに、ここまで褒められるとは思っていなかったのだろう。

「――私がここまで夢中になった人間は、ルルーティカ様だけです」

 ノアが目を細めて笑うと、ルルは顔に両手を当てて「恥ずかしい」とベッドに倒れてしまった。

「ノア……?」
「はい」

 無言で腕を伸ばされた。覆い被さるように抱きしめると、胸元にほっと熱い息を感じた。