同種のノアは、見ればその人間が聖王に相応しいかどうか、分かるようになっている。嘘を吐いたり対面だけ取りつくろってもむだだ。
 人となりは、魂に、体に、心に刻まれる。

「ルルーティカ様より聖王に相応しい方はいません」

 出会い頭から一貫して伝えてきたこの言葉は、ルルの心にどんな風に響いているのだろう。
 ベッドに腰かけて銀色の髪を撫でると、彼女は気まぐれな子猫みたいに目を細めた。

「わたしは自分のことを少しもすごいと思えないわ。お兄様ほど聡明ではないし、興味があったらすぐ出掛けていく行動力もないし、金貨を使わないと王女らしく見えないもの。お部屋のなかでは最強でも、世間的には無価値もいいところよ」
「教えて差し上げましょうか。ルルーティカ様の良いところ」