問いかけられたルルは、フォークを置いて考えた。
 ジュリオとマキャベルの野望を防ぐには、聖王の座を早く埋めることが肝要だ。

「お兄様には、聖王城にお移りいただき、聖王が戻ったとお触れを出して、さらにユーディト地区で密輸が行われたことを喧伝していただきたいですわ。マキャベルとジュリオは、悪事を広められたら自ずと接触してくるでしょう」
「それでお兄ちゃんは暗殺されて、ガレアクトラ帝国に侵攻されて、この国は終わりってわけだ」
「え……?」

 目を瞬かせるルルに、イシュタッドは「もう国の転換期は始まっている」と言う。

「ルルは、俺様が聖王城に戻って、マキャベルを粛正して、他国の王子であるジュリオは断罪できないから、聖教国フィロソフィーで密輸していたので厳重注意してください、って母国に引き渡すのが理想だと考えているだろ?」
「ええ。二人の悪事を明るみにしなければ、一角獣の密輸は止まりませんもの」