「……ルルーティカ様……」

 ノアの瞳が潤むと同時に、彼の体が光り出した。
 輝きは、海の向こうに出た朝日に負けないくらいに強まっていき、蝋燭の炎を吹いたときのように唐突に消えた。

「え……?」
 
 ルルに触れるノアの腕は、以前のように実体に戻っていた。
 ノアは、きょとんとした顔で空に手をかざす。

「魔力が戻った……」
「これでノアは消えないわ! でも、おかしいわね」

 ひたひたと頬を触ったり体を見下ろりたりするが、ルルは前となんら変わらない。どこかがえぐり取られているわけでもないし、心臓もちゃんと動いている。