ルルの脳裏に、教会裏で集まっていた一角獣たちがよみがえった。

 彼らは、角を折られて魔力の源を失い、空を飛べなくなっていた。
 二角獣の本性を表したノアは、二本ある角のうち一本を失っている。

「ひょっとして、上手く空を飛べないんじゃ……」

 ルルの不安は的中して、ノアは斜めに滑空しはじめた。人間二人が崖から真っ逆さまより速度は遅いが、海へとダイブは免れない。

 ルルの魔力は、こんなときには発揮されない。
 他になすすべもなくノアの首にしがみつくと、落下はいよいよ本格的になった。

 猛スピードで海へと近づいていく。恐怖と風で目を開けていられない。

「きゃあああーーーーーー!」