ノアの体が白い光に包まれた。

 ルルの存在ごとかき消してしまうような、朝日よりも強い光だった。
 直視できないほどの眩しさのなかで、ノアの形はぐにゃりとほぐれていく。

 感じるのは驚異的な強さの魔力だった。一角獣《ユニコーン》の清廉な気とはちがった、暴力的なまでの気迫にルルの肌が粟立つ。

(どうなっているの?)

 何者でもなくなった光は、ルルの体の下へ集まった。すると、見えないハンモックで釣り上げられたように落下が止まった。

 びっくりして真下を見る。光は、一角獣《ユニコーン》のような獣の輪郭を成していき、ぱっと散った。
 姿を現わしたのは、翼を広げた成獣だった。

「二角獣《バイコーン》……!」