「なんだ、さっきの音は」

 そっと伺うと、昼間ルルをからかった司教と、その部下と思われる男たちが、カンテラを手にして檻を照らしていた。

(あの明かりは魔法で灯されているわ。指にはめた魔晶石の力ね)

「こいつらが急に暴れるなんて今までなかったのに……。ん? なんだこれは」

 司教は床から何かを拾いあげた。カンテラにかざされたのは、一枚の金貨だった。

(あれは、ひょっとして)

 ルルはネグリジェの腰元を探った。ウエストベルトに挟んで持ち歩いていた巾着に、いつの間にか穴が空いていて、そこから金貨が零れだしていた。

(わたしの金貨だわ――!)