「聖王になって一角獣保護法を破棄してしまえば、こそこそと密輸する必要がなくなる。だからマキャベルは、次期聖王候補として、共犯者であるジュリオを推しているんだわ……!」

 彼らの悪事を見切ったそのとき、背中から腕を回されて口を塞がれた。

「むぐっ!?」
「私です、ルルーティカ様」

 口を塞いでいるのはノアだった。ルルがベッドを抜け出したのに気づいて、探しにきてくれたようだ。
 檻の一角獣は、ルルが乱暴されていると思ったらしく、ガンと床を蹴った。

「落ち着け。私はルルーティカ様を傷つけはしない。……むごい仕打ちだ」

 ノアは、檻の山を見上げて言葉をなくした。
 複数の足音が近づいてきたので、ノアとルルは檻のかげに隠れる。