ユーディト地区は港町。魔晶石の輸出が盛んだった頃には、多数の商用船がひしめき合っていたが、一角獣保護法ができてからその数はぐんと減った。

 今では、果実や布を運ぶ外国の商用船が、水や食料の補給のために寄港して、ついでに品物を卸していくくらいだ。

「商用船にのせる識別番号がついているってことは、この一角獣たちは、ガレアクトラ帝国に密輸するために捕えられているんだわ……!」

 密輸には、輸出する国と輸入する国の両方が、協力しあう必要がある。
 ルルが本から得た知識では、ガレアクトラ帝国の商用船は全て王族が所有しているはずだ。

 一角獣を運ぶ船の持ち主はジュリオ。
 一角獣を捕えておくユーディト地区を支配するのはマキャベル。

 この二人が結託すれば、一角獣の密輸で莫大な富を生み出すことができる。