爆発により天井が抜けた部屋には、巨大な檻が山積みになっていた。
 檻のなかには、一角獣《ユニコーン》が囚われていて、部屋全体で百はありそうだった。

 近づいた檻に囚われていた一角獣は、頬に鞭打たれたあとがあるが、角は無事だった。周りも確認していくが、角が折られた個体はいないようだ。

 恐らく、人懐っこい性格を利用した人間が、檻に誘導して捕まえたのだろう。

「誰がこんなことを……」

 錠前を外せないかと思って、ガチャガチャと揺さぶってみるが、ビクともしない。ルルには、鍵がある場所も、持っている相手も分からなかった。

 だが、檻を観察して分かったこともある。天井に空いた穴から降り注ぐ月明りで、檻の柱に書かれていた文字が読みとれたのだ。

 ガレアクトラ語で『寄港船ジュリオ195』と記されていた。