二角獣がやったのだ。ありあまる魔力を暴発させて。

「人を殺してはだめよ! あなたが悪者にされてしまうわ!!」

 ルルが説得を試みるが、二角獣は、うんともすんとも言わない。爆発音を聞いて駆けつけたルルの従者や、施設の職員までも攻撃していく。

「やめて、やめて……!」

 ルルは、二角獣の首にしがみついて涙声で訴えた。
 それでも攻撃は止まらなかった。二角獣は、ドン、ドンと上がる爆発のなかを、ゆっくりと歩いて行く。

 廊下に出て、異音に気づいて出てきた人間を爆発させ、また進む。
 煙と悲鳴と血の香りが施設内に充満する。

 ルルの行く先々で、目を開けたら心が壊れてしまうような、悲惨な光景が広がっていった。