関係者用の通路から、白衣を着たキルケシュタイン博士と研究員たちが部屋に飛びこんで来た。彼らは、自由の身になった二角獣と、かたわらに寄り添うルルを見て動揺した。

「檻が破られた。急いで王女殿下を保護する! 二角獣を魔法で引き離す、その隙を狙え。痛めつけてもかまわんが、殺すな!!」

 命じながら、博士が手の平に魔力を集める。
 ルルは、二角獣が攻撃されると思って、大声を出した。

「やめて! この子は何も悪いことはしていないわ!」
「王女殿下、それは一角獣とはちがいます。人をもてあそぶ獰猛な怪物で――っ!」

 二角獣の瞳が赤く光った。
 次の瞬間には、博士がいた場所で大きな爆発が起こった。

 巻きおこる爆風に耐えてルルが目を開けると、床に大穴が空いていた。
 博士の姿はなく、周りには血を流した研究者たちが倒れている。