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 教会訪問で疲れた体をお湯で清めてネグリジェに着替え、ノアの腕のなかで眠っていたルルは、真夜中に目を覚ました。
 どこからか、自分を呼ぶ声が聞こえた気がしたのだ。

「……だあれ?」

 小声で呼びかけるが返事はない。灯りの落とされた部屋にはしっとりした闇が下りていて、となりで眠るノアの小さな寝息しか聞こえない。

(――こっち)

 またも声がした。耳ではなく、頭のなかに。
 ルルは、魔力を通じて、この声を受信しているようだ。